Archive for December 2004

22 December

物は召喚できないはず

 米国アップル社が守秘義務違反者を知る情報を得るためにsubpoenaを利用したというお話。ちなみに原文はここ
 証拠を集める方法としてsubpoenaを使うのはよくあることなので、珍しくない。しかし、いい加減subpoenaをオウム返しのように「召喚状」と訳すのはやめたほうがよいのではないだろうか。召喚状となると、人を裁判所や法廷に呼び出すためのもの、つまり出頭命令になってしまって、今回のように、物証を収集するときに使用しない概念のはず。訳した人は、日頃から、「書類を召喚する」という日本語を使っているのか知りたいところ。


12:48:27 | dolus | 1 comment | TrackBacks

実装ならぬ実証?

 つたない司会でも何とかきりぬけたようなそうでもないような。セキュアOSの実装の必要性とかまでに話しがいってしまうと、今の証拠収集の枠組みをこえてしまうので、ちょっと(;^_^A アセアセ…状態だった。
 デジタルデータの証拠の真正性とか証拠能力の問題は、きちんと議論されていないのも実情であるし、理解していない刑訴法研究者・実務家も多いのはたしか。もっと現場からプレッシャーをかけないと真剣に考えないのかもしれない。なんでもかんでも違憲無効をいっているだけでは、実務の暴走があってもとめることはできない。技術者・現場捜査官の意識・実態と今年の夏の刑法学会関西部会での議論とのギャップはかなりある。

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00:15:54 | dolus | 4 comments | TrackBacks

20 December

コスプレ

 デジタルフォレンジック・コミュニティの懇親会で、Mr.ITに着せられたもの。ちなみに、私はTIなので、似合っていない、はず。
 明日は、分科会の座長なので、早く帰った。というのではなく、ラストクリスマスの最終回をなんとしてもみるために、早く帰った。明日の準備は、もうあきらめた。明日に備えるT&V先生とは違う。
22:53:54 | dolus | 1 comment | TrackBacks

18 December

可罰的違法性の理論

 判決文の詳細はわからないのですが、久々に懐かしい概念が判決で使用されたようです。イラク派兵反対のビラを自衛隊の官舎へ配布するための敷地への立入について住居侵入罪が問われた事案で、どうも裁判所は可罰的違法性がない(記事によると「刑罰に値するほどの違法性はない」)として、無罪の判決を下したようです。この点について若干質問を受けました。
 可罰的違法性というと、一厘事件しか思い起こせない人も多いかもしれません。もしかしたら、学部の刑法の講義ではこの点だけを述べて終わりということも多いかもしれません。実際、私の講義でも、ほとんどやりません。というのは、(少なくともカリキュラムの上ではまだ履修していない)憲法の人権論をやっていないと十分理解できない判例を扱うことになるからです。
# 同じ理由で、罪刑法定主義のところも、やりずらいものがたくさんあります。
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22:27:35 | dolus | 20 comments | TrackBacks

17 December

ニュースなつっこみ

 明石の歩道橋事件の判決があり、現場責任者に有罪判決が下されたようだ。過失の存否という難しい問題は、判決文が出てから、検討すればよいとして、気になった記事があったので、またまたつっこみ。
過失事件に詳しい甲南大法学部の平山幹子助教授(刑法)は「過失責任認定には、死傷事故が発生する危険の認識が抽象的でなく、具体的でなければならない。裁判所が予見の対象や基準をどこに求めるかが、有罪、無罪の分岐点になる」とする。


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15:40:21 | dolus | No comments | TrackBacks