Archive for 29 May 2005

29 May

最良の刑事政策はよい教育政策にある

 ,,Die beste Kriminalpolitik ist eine gute Sozialpolitik.''
これは、リストがDer Zweckgedanke im Strafrechtのなかでいった言葉(のはず)です。それから1世紀以上のちに、現在のわが国の状況をみて、西原先生は、その古稀祝賀パーティの席上、表題のように述べられました。
 その本意はどのようなものかはわかりませんので、以下は私なりの理解です。
 教育といっても、学校だけでなく、家庭、地域社会等いろいろな局面があるので、どこかだけでやるというものでもないのです。本当は、全体的な構想を示したりすることが必要になってきます。わが国の場合、現場での裁量がきわめて小さかったり、中央指向的な地域もあったりとしますので、政府のほうから綱領的な指針、具体的な施策等必要に応じて実施していくことが必要かもしれません。この意味で、教育「政策」なのだと思います。


[Read more of this post]
15:53:32 | dolus | No comments | TrackBacks

一見さん、お断り。

 白浜前後から、にわかに匿名でいいのか、なんてことで、騒がしくなっているようですが、刑法の世界では、匿名だからこそ犯罪になるってことがあります。典型的なのは、二項犯罪です。
 食い逃げタイプ(支払段階で欺罔して支払を免れるパターン)の詐欺で、犯罪が成立するのは、まさに行為者が匿名であるからなんでしょうね。二項犯罪が成立するには、一項の財物の移転に相当する具体的、確定的な利益の移転が必要であるとされます。しかも、債権に関しては、法的な処分だけではなく、事実上の利益の移転をも考えるというのです。
 乱暴ですが、簡単に言えば、二項犯罪を認めるには、債権が消滅したのに等しいような状況が作出されることが必要で、代金の支払いに関して二項犯罪が成立するには、事実上の債務免脱ないし事実上の支払猶予といえるかどうかが基準となります。そのとき、行為者と被害者とが知り合いであったり、隣近所であるときは、逃げたからといって、利益の具体的、明確な移転は認められず、まさに一見の客である、タクシーなら客をひろって乗せるわけで、どこのだれかはまずわからない、ということで、逃げられてしまうことが、具体的な利益の移転と評価されることになります。


[Read more of this post]
02:10:51 | dolus | No comments | TrackBacks

まちゃまちゃ

ひとつ!と、摩邪風にやろうとは思ったけど、どぎつくなりすぎるのでやめ。
# でも、一定年代以上だと、ひと〜つ、となると、人の生き血をすすり、てなるのかも。
まぁ、あんまりなめてかかると痛い目を見るかもしれないというお話です。

「職務質問は強制処分」と、大学の先生をなめてかかっていた学生たちがそろって答えととか。どうも、行政警察と司法警察という言葉を知らないのか、警職法をみたことがないのか、よくわかりませんが、ごく基本的なことも知らず、えらそうにしていたそうです。なぜ、職務質問がらみの一連の判例が問題となっているのかという問題の所在自体がわかってないのでしょうね。

はじめてききました。訴因維持命令。ちなみに、ATOKの誤変換で、訴因いじめ異例。たしかに、訴因をいじめるのは異例なことでしょう。いずれにせよ、このようなことを平気で答案に書いてくるそうです。
現行刑訴法のどこをどうひっくり返したらこのような概念を導出できるのか、あるいは、だれかこんなことをいっている学者がいるのかとあちこち調べまくったけれどわからなかったそうです。で、ひょっとしたら、ひょっとするということで、ある本をみたら、書いてあったとか。なんの論理も理由づけもなく。自分の頭で考えずに盲信すると足下をすくわれるのです。


[Read more of this post]
00:57:54 | dolus | No comments | TrackBacks