Complete text -- "自由・責任・コミュニティ"

21 May

自由・責任・コミュニティ

 某弁護士は、言葉尻をとらえられるのがいやだからブログをしないそうです。あまのじゃくなので、というわけで、シンポジウムでのいろんな人の言葉尻をとらえてみました。
#タイトルは、なんか法哲学のモノグラフィのタイトルみたいですが。自由だけでなく、責任が大事などという発言があった気がしますが、でも、近代法の自由というのは、かならず対概念として責任があったはずなのです。一部団塊の世代およびそのジュニアでは、自由と責任が対概念ということを無視してきたのかもしれません。

 ネットワーク上の不当な行為についての責任を問題にするとき、えてして多いのは、民事責任と刑事責任を一緒くたにして議論するというもので、情報法やネットワークの法律問題に詳しいという(自称・他称)弁護士さんたちでも、まぜこぜにしていることが多いです。ちょっと考えればわかるのですが、それではきちんとした法的議論にならないはずです。
 たとえば、車を盗まれ、あるいは他人に貸していて、そのときに交通事故で人が死傷した場合、車の持ち主は、民事責任を問われ、被害者側から損害賠償請求されることがあります。しかし、現に運転していない者に業務上過失致死傷罪を負わせるなどということはないでしょう。


 
 あるいは、発信者情報開示に関する現行法の制度では、アクセスがむずかしいから、弁護士紹介はつねに開示しろというのも、実は、自分は不正利用しないから問題ないというだけで、それを制度的に一般化したときの問題に目をつぶっているか、弁護士は全員悪いことをしないのだという傲慢さの現れか、といったものしかみえてこないのです。通信系ISPだと、捜査照会ですら拒否して、令状を要求していますが、裁判所という第三者の判断を介在させるという法治国家における先人の知恵におもいがいたらないのかもしれません。
#ネットワーク法の専門家(といっている人たち)がよく参照するアメリカ法でも、裁判所の発するサピーナが必要です。

09:10:08 | dolus | | TrackBacks
Comments

高橋郁夫 wrote:

高橋郁夫です。

弁護士として依頼者をお待たせしているので、ブログに時間をつかえないというのが大きいので、そこだけは、しっかりと。

ppt をめくるのが早すぎましたけど、ちゃんと民事の点も含めて話しましたよ。損害賠償でも、法を執行するっていいませんでしたっけ。

あと、提出命令の示唆という言葉もはいっていたんですけど。
でも、今の日本の令状制度と提出命令制度がどの程度、アクセスのコスト減少に寄与するかは、まだ、しらべてないよというのが、「示唆」という言葉の意味になってます。

あと、とられる足はないよね。
05/22/05 01:25:42

悪しき先輩 wrote:

技術者の方は、民刑不分離の方が多く、「某事件で過失相殺しないで懲役●●年としたのはおかしい。」「プライバシー侵害罪で裁かれるべきで不正アクセス罪で裁かれるべきではない。」というトンデモ意見がまかり通ってます。
もっとも、「そういうトンデモ主張をされる人は、自称技術者で学習レベルも低い人が多いから。」「法律を振りかざす自称技術者は相手にしない方がいいですよ。」と、まともな技術者の方々が言っていらっしゃいました。
05/23/05 17:57:28

anonymous wrote:

なるほど。
異分野の半端な知識を披露するのもたいがいにしろ、というところでしょうか。
逆に、技術をやたら知ったかぶる法律学者や実務家も相手にしないほうがいいと言われてしまうかもしれませんね。事実すでにそう言われている人もいるかもしれませんが。
05/24/05 01:30:35

悪しき先輩 wrote:

極論をお許しいただければ,プログラミングできない人(無免許)は,IT法の専門家を自称するなかれってことでしょう。もちろん極論でインターネット免許制度論程度の冗談ですが。
「基本プログラム」という訳語を見たとき,てっきりOSの誤訳かと思ったら……,そう,BASICの誤訳だったんです。orz
これが分かったとき,技術屋さんたちは天を仰いで,日本を代表するIT弁護士がこの程度か!と法曹界に大いなる不信感を抱き,未だに不信感を引きずる方もいらっしゃいます。
05/24/05 21:14:34
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