Complete text -- "♪○○を知らない子供たち"

28 April

♪○○を知らない子供たち

 今年は、たまたま法科大学院進学希望の研究生を受け入れたので、既習者コース入試の勉強の一助にと、元ゼミ生の希望者を集め、刑法の論文答案演習のゼミをしています。
 いろいろ脱線をしまくるなかで、気づいたのは、消極的構成要件要素の理論を誰も知らなかったことです。強力な主張者の中先生が亡くなられたことで理論が衰退したわけではないと思うのですが、ともかく時代、あるいは世代間格差を感じました。
 ここはひとつ、中古稀で消極的構成要件要素の理論を論じた方や、現代刑事法で消極的構成要件要素の理論を支持された方に頑張って、認知度を高めてもらう必要がありそうです。


 ただ、構成要件と違法性の関係に関していえば、偶然防衛において、防衛の意思を必要としながらも、既遂犯ではなく、未遂犯の成立を認めるべきとの見解は、構成要件と違法性を等価にあつかい、同一の判断構造を肯定する点で、実質的に消極的構成要件要素の理論と変わらない枠組みにあるようにも思われます。
 消極的構成要件要素の理論の評価にも関わるのでしょうが、たんに誤想防衛等正当化事実の錯誤の処理にのみ注目するのではなく、構成要件と違法性の関係という理論的な基礎的枠組みとしても視野を広げて、この理論をみることも必要な気がします。
 些末ながら、メツガー、M.E.マイヤーなどももはや過去の忘れ去られた人物になっているようです。某先生が嫌いな行為論も、おそらく普通の刑法の授業ではもはやほとんどあつかわないようですし。ベッカリーヤやフォイエルバッハ、リストなども知らない世代が出てくるのでしょうか。
02:17:16 | dolus | | TrackBacks
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