10 October

今頃なぜ？

　術後の死：遺族が納得しなければ、病院は警察に届け出よ−−医師と法律家が提言という見出しの記事が毎日新聞に掲載されたようですが、今頃になってという感じです。たぶん、6月に出された報告書なのだと思うのですが、あるいは、報告書の内容通りのまさに「提言」をどこかに対しておこなったということなのでしょうか。
＃　学術会議の報告の頁をみればわかりますが、報告書類は順次公開されているものです。なので、今頃になって、ということです。


　医療過誤と異常死、解剖をめぐる問題については、すでに解剖というエントリーで述べていますが、この報告書は、病理解剖にすら遺族が同意しないことが多いために、異常死の認定がしずらいという現状をふまえているのかもしれません。ただ、問題はその先にあって、解剖のエントリーで述べたように、異常死とされても、法医解剖されるわけではなく、法医学的な死因の解明がされるとはかぎらないということです。なので、監察医制度を整備するということは重要な課題かもしれません。
＃なお、医師法21条は「異常死」について所轄警察への届出を義務づけており、この報告書は同法の届出義務のある「異常死」の解釈について指針を示そうというものです。なので、犯罪性の高低を無視しているとか、警察へ集中させるのは問題だとしても、それは医師法それ自体の問題であって、報告書の当否とは別の次元の問題でしょう。