18 May

法システムにおける法主体

 個人的法益に対する罪の法益侵害性をどのように理解すべきかは、一つの問題です。
 構成要件的結果と法益侵害を同一視することから、法益侵害性を事実的にとらえるべきとする立場からすると、保護法益はあくまで事実的に把握されなければならないことになります。そこには、法的評価、規範的評価の介在する余地はないこととなります。

# 規範的評価を行為についておこなう行為無価値論の立場からは、このように主張しても、それほど具体的妥当性に問題はないでしょうが、あらゆる客観的事象をそのものとして(もしかすると、このような論者たちは、カントのいうDing an sichを人は認識できると考えているのかもしれません。)とらえるべきという結果無価値論(徹底しなくとも、日本ではそのように考えている立場は多いでしょう)からは、その立場を徹底することは難しい気がします。

 しかしながら、犯罪行為の客観的側面を事実的に理解すべきだという考えは、犯罪が規範的評価であって、法規範システムのなかに犯罪と刑罰が組み込まれていることを過小評価しているように思われます。


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06:21:50 | dolus | 3 comments | TrackBacks

30 April

(~,~)イヂイヂ(~,~)イヂイヂ(~,~)イヂ

「サイバー犯罪条約に関する覚書き」とか、古くは、第1回の越後湯沢のワークショップでもいったのだけど、
そういうときは無視したくせにねぇ、
とか
アメリカのちょっと有名な人がいうと取り上げるのか、
とちょっといじけたが、よく見れば、海外の記事の翻訳。

セキュリティの権威、「サイバーテロリズム」という言葉の乱用を批判

追記
 この記事の主張がいかにも正当だという紹介が散見されるが、この程度のことはちょっと考えればわかるのであって、いまさらあえて紹介すること自体、日頃からあまりものを考えていないのではないかと、疑念を抱かせることになる。
 そういえば、JR事故で、専門家とされる人の中には、それまでの西日本の運行体制(厳格な時間厳守やスピードアップ等)を見習うべきと賞賛していたのに、今や、正反対のことをいっている輩もいるようで、こういうのもなにも考えていないということの見本でしょう。
15:58:29 | dolus | 4 comments | TrackBacks

25 January

不正アクセス禁止法の意義と限界


ACCS不正アクセス裁判、検察側は元研究者に懲役8カ月を求刑

という記事が出ていました。3月25日判決とのことです。
 判決内容が公刊されたならば、前回の論文で、ごまかしたところを補完できそうです。気弱なので、公判中の事件に言及せず、中途はんぱになってしまいました。だしてみてまた激しく鬱になってます。なので、抜き刷りをきちっと配っていません。
 奇特な方で、どこかで論文をみつけることができた方はわかりますが、個人的には、検察側の論理も、弁護側の論理も、否定的なのです。


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00:13:36 | dolus | 2 comments | TrackBacks

10 October

加藤摩耶「刑法における自己決定の意義と射程」

広島法学26巻3号に掲載されていた論文です。先週のマスターの授業で扱いました。
 個人を相互に補完し補完される共生的存在としてとらえ、自己決定の問題を自己決定を取り巻く社会的「場」を重視して考えるべきであるとし、その「場」において強者と弱者の関係を放置したまま、自己決定を論じるのは妥当でないというものです。

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20:59:41 | dolus | No comments | TrackBacks