Complete text -- "共謀罪"

24 June

共謀罪

 今日から衆議院の法務委員会で審議に入りそうです。前回の常会に提出されたものですから、かなり放置されていた感じです。この前の刑法学会のときに、次回大会アンケートに共謀罪と書いていたら、I@K大さんが「たぶん今国会では審議入りしないから、次回大会でも、まだ成立していないでしょう。」とか、おっしゃっていたのです。それなら、いったん廃案にして、切り離して再提案するのかと思いきや、審議入りしました。このままだと、郵政の隙間をかいくぐって、成立するかもしれません。
 だったら、次回学会のトピカルなテーマで、ワークショップなのでやってもよいかもしれません。
 でも、共謀罪って、これまで、そんなにきちんと検討されてこなかったことは否めないです。アメリカでの状況を分析された論文といえば、おそらく、大阪学院大の奈良先生が獨協大時代に書かれたものくらいでしょうか。アメリカは以前から共謀罪がありあますが、law reviewでみると、アメリカでの議論は、20世紀の前半くらいに集中しているような気がしますので、そこで落ち着いたのかもしれません(調べてみないとわかりません)。
#マイケル・ジャクソンの1番目の訴因は共謀罪です。

 理念的な問題については、すでにたぬき先生が『法律時報』で検討されていたが、より具体的な法案の理論的検討は、一部の思想的な観点からの検討は別に、十分になされていない、あるいは公刊されていないように思われます。せめて、アメリカで、どのように生成し、定着していき、その過程でどのような問題が指摘され、どのように解決されたのかとか、処罰の根拠どうなのか、要件と処罰根拠の関連性はどうかなど、いろいろ検討すべきところは多いのではないでしょうか。
 このことをふまえて、わが国の刑法理論とどう接合できるのか、あるいはできないのかなどを考え、法案の是非、要件の問題点などを明らかにしないといけないでしょう。でも、こういったことって、判例を所与のものとして考えるようなアプローチ(法システムのパッチワーク化ともいうらしい)からは、無理なような気がします。基本的には、現状追認しかできないのです。

 というわけで、『刑法総論の理論構造』は、体系的な理論刑法学の入門書としてお勧めです。
17:37:18 | dolus | | TrackBacks
Comments

悪しき先輩 wrote:

共謀罪の中止犯とか幇助犯とか考えると,受験時代を思い出す頭の体操になります。ただ,いざ法案が成立したら,実務的対応に四苦八苦十六苦三十二苦六十四苦……しそうです(w。
06/24/05 22:33:17
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