Complete text -- "牽連犯"

22 June

牽連犯

 講義後の学生の質問「殺人や強殺と死体遺棄が牽連犯にならないのはなぜですか。傷害致死と死体遺棄はどうなるのでしょうか。」
 デジャブではないかというくらい、タイミングよすぎです。

 刑法学会の休憩時間に、ハードディスク大学の人たちと、罪数論の話をしていたのですが、そのとき、なぜ殺人罪と死体遺棄罪(ないし死体損壊罪)が牽連犯ではないのかという話になりました。もともと牽連関係といっても、それほど厳密に理論的に明確に決まっているわけではないので、司法試験受験生は覚えるしかないねということでした。そのよくわからないものの筆頭が、殺人と死体遺棄が併合罪とされることです。
 元検事で実務家教員のかたとσ(^_^)の考えは、ほとんど同じで理由でした。牽連犯は、科刑上一罪となるので、公訴事実の同一性(単一性)があるとされます。すると、訴訟法上の効果がすべて二つの犯罪に等しくおよんでしまう点で妥当ではないということです。

 妥当ではない、ということの具体的な中身は、訴追側の実務的観点です。通常、殺人・死体遺棄事件は、死体遺棄事件から攻めていって、本丸の殺人へと捜査を進めます。両者が科刑上一罪になると、殺人の証拠固めに費やせる時間が限定されることになりまうのではないかということでした。特に時間切れで、死体遺棄のみで起訴したときは、その後の殺人罪の取調べがたいへんになるということです。σ(^_^)は一時不再理の効果がまず思い浮かんだのですが。
 これを学生に説明したら、納得してくれました。ただし、あくまで推測であって、理論ではないです。


追記
今日頂いた『刑法総論の理論構造』には、違法評価の重複ないし量刑事情の重なり合いの有無で説明できる(463頁)とのことですが、生前の占有の名残をなお死後も保護しようというのが判例・通説ですから、違法評価の重複や量刑事情の重なり合いはあるともいえそうです。社会通念上類型的に一体の事実だとか、結合犯に類似する密接な関係というよくいわれる説明でも、やはり牽連犯でもええやないかと思わせるのです。
01:24:38 | dolus | | TrackBacks
Comments

g rsacwgxy wrote:

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You realize a whole lot its almost hard to argue with you (not that I actually would want to
06/23/20 23:48:44
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