Complete text -- "加藤摩耶「刑法における自己決定の意義と射程」"

10 October

加藤摩耶「刑法における自己決定の意義と射程」

広島法学26巻3号に掲載されていた論文です。先週のマスターの授業で扱いました。
 個人を相互に補完し補完される共生的存在としてとらえ、自己決定の問題を自己決定を取り巻く社会的「場」を重視して考えるべきであるとし、その「場」において強者と弱者の関係を放置したまま、自己決定を論じるのは妥当でないというものです。


 メンバーが法哲学専攻の学生を中心とするせいか、刑法の議論よりも法哲学的な観点からの疑問がでました。
・共生という言葉が通常法哲学で議論されているものと異なった意味で使用されているのに、自己の使用する意味をそれほど明確にしていない。
・弱者保護のため行政法による積極的な介入を容認する場合、目標設定が必要であるが、その目標があまりに理想化されているのではないか。
・論者が、共生、弱者を保護するような社会的「場」の構築を考えるとき、実は理想的な像が想定されているのではないか。
・弱者を保護して、実質的な平等、結果の平等を図るというのであれば、それはもはや自由社会ではないのではないか。
などというものです。
20:59:41 | dolus | | TrackBacks
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