Complete text -- "スマイル0円"

04 December

スマイル0円

 財産上の利益とは?というとき、よく有償の役務がこれに含まれるといいます。タクシーとか電車などの交通機関の利用は、運行主体からすると運送サービスを提供していて、これに対価性があることで、財産上の利益になると考えるわけです。なので、役務の提供であっても、有償でない、対価を払わないものは、財産上の利益とはいえなくなると解されています。
 でも、どこまでが料金に含まれるのかということはそんなに明らかではないところもあります。例えば、レストランで料理を注文して食事をして料金を支払うというとき、食事代金はどこまでをカバーしているのでしょうか。料理はたいへんよかったけれども、ウェイターのサービスは最悪だったので、その分の代金は払いたくないなんて思うことがよくあります。ちょっと高級な店では、サービス料を別にとっていたりします。このようなとき、料理の代金はちゃんと払ったけれども、サービス料をだまして免れた、あるいは、接客がきわめて悪かったのですごんでみせてサービス料をまけさせた、などというとき、詐欺罪や恐喝罪が成立するのでしょうか。
 アメリカかどこかで、サービスが最悪だったので、チップを払わなかったという事件で、そんなの払わなくてよいという判断が示されたということが報道されたことがあった記憶もあります。だとすると、一定の水準を満たしていないサービスには、料金を支払うべき債権が成立しないということなのかもしれません。日本でも、実際にサービスが悪すぎるときに、店長なり、支配人なりをよんで苦情をいうと、代金が減額されたりすることがあるようです。ということは、サービス料が別立てになっていようといまいと、料理代金には接客というサービスの料金も含まれているのでしょうか。
 だったら、スマイル0円と表示しているマクドで、店員を欺罔してスマイルを提供させたり、脅して無理矢理スマイルを提供させたときは、どうなるのでしょう。0円だから、有償の役務ではないのでしょうか。0円というのは宣伝の一種で、その他の商品の料金に含まれている商品の提供に付随する役務なので、やはり有償の役務なのでしょうか。

# 牛丼をうりにしてチェーン展開している某早稲田南店は、飲食物を作ることとそれを食べる場所を提供することだけについて料金をとっているようです。サービスという観念がなく、いっさい笑顔のない、心ここにあらずの義務的な「いらっしゃいませ」、お金払っても「ありがとう」すらいわない、すいているのに無理矢理カウンターにすし詰めに座らせる、などなど枚挙にいとまがない。面倒で仕事の妨げになる無益なサービスはしないというのですから、飲食物以外のなにか目に見えないもので客に接しようとしている吉野家や松屋とは違った観念で店を運営しているみたいです。
 この店なら、だまして、笑顔やその他通常のファーストフード店ならおこなっているサービスを提供させても2項詐欺罪にはならないというのは明らかなのかもしれません。脅してやらせると、2項恐喝は成立しなくとも、強要罪の成立があります。
05:19:02 | dolus | | TrackBacks
Comments

悪しき先輩 wrote:

悪乗りギャグですが,小生のメイル無償配布のレジュメは,無償役務の提供ですから,財産的価値がないので,強奪しても常に未遂だったりして(ゲラ。
もっとも,どうやったら強奪できるかという根源的な問題がありますが(ゲラゲラ。
12/04/04 11:27:52
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