Complete text -- "暗黙の了解と共謀"

22 November

暗黙の了解と共謀

 拳銃所持の共同正犯の判例の続きです。な・が・い(^^ゞ
 最高裁は、共謀ないし共同実行の意思という主観面については「けん銃等所持につき黙示的に意思の連絡があった」としています。共同正犯の主観的な成立要件としてこのようなものでたりるとしたとみるのは、やはり妥当ではないといえます。ここでも、組長とボディーガードという上下関係の存在が大きなファクターを占めているとみるべきではないか考えています。
 なお、この認定の前提となる事実関係について、本判決では、「直接指示を下さなくても、被告人本人のボディガードとしての経験などに基づいて、これを確定的に認識しながら、当然のこととして認容し、そのことをスワットらも承知していた」ということを認めています。この点をどのようにみるのかも、問題となります。黙示的な意思の連絡、暗黙の了解でよいのでしょうか。
# ちなみに、このゼミのオチは、暗黙の了解ということから考えると、橋本派の一億円政治献金について、だれまでが政治資金規正法違反の共謀共同正犯といえるかでした。
 少なくとも現に実行しない者を実行した者と同様に正犯とするというならば、主観・客観両面において、実行行為をした者と同等の不法の実現を要求すべきではないかということがいえます。個人的には、そのような部分社会の慣例的な仕組みとして、けん銃の所持につき事実上命令が存在していたといえる状況の存在、あるいは、組長がそのことを知っていて当然といえる状況が必要な気がします。
# もちろん裁判所はそのことを明示的には要求していません。

 さらに応用として、組長自身はけん銃の所持を認識しているが、スワットらは自分らの判断でやっているので、組長はそのことを知らないと思っていた場合は、どのようになるのか、ということを問題とすることができます。
 スワットらにけん銃所持をやめさせなかったという不作為形態での関与を問題して、不作為による共犯ないし共同正犯となるという考えがまずでてきました。しかし、この場合、作為義務はあるのでしょうか、その根拠はどこに求められるのでしょうか。さらに、この構成では、片面的共犯ないし片面的共同正犯となりますが、判例からすると後者は認められていないので、その点をどうするのかということも考える必要があります。
16:03:38 | dolus | | TrackBacks
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