Complete text -- "法学って超文系か?"

28 October

法学って超文系か?

個人情報保護法を論理的に読み解く
著者の尾崎弁護士によれば、
 
日本では、法曹界というと超文系人間の集まりだ。

だそうで、
 そもそも法曹の多くは、論理センス(論理に対する直感力)が理系人間に比べて低い傾向にある。例えば、「A and B」という論理式がある。AもBもともにtrueになったときにのみ式全体がtrueになる。では、この反対をとったらどうなるか。理系人間ならば一瞬で
not(A and B)=(not A) or(not B)

とするだろう。だが、司法試験に合格するレベルの頭脳の人間でも(従って決して愚かというわけではない)、こういう論理展開が苦手な人が多いのだ。

ということだそうだ。
 個人的にはこのような見方に全面的には賛成しかねるが、そうだなと思われる部分もあるという複雑なものである。そもそも、指摘されたような論理展開ができないようでは、複雑怪奇な行政法規を理解することはできず、実務家であろうと学者であろうとそれらにかかわることはできなくなる。これはいずれの立場にあっても、問題がある。さらに、法学は基本的に論理的な思考を基礎とするところが大きく、それができない、苦手であるということは、法学が苦手であるということに等しい。
 もっとも、現実はそのように単純なものではなく、論理的思考ではなく、丸暗記という方法で対処する者も多い。高校の同級生のなかには、論理的な思考とかが比較的強く要求される科目についても、問題集の解答丸暗記という方法によって、トップクラスの実力を示した者(いまは立派な内科医)もいる。おそらく、弁護士になる場合であっても、丸暗記という方法によって司法試験に合格することも可能であろうし、これまで受験指導した経験ではそのような方法をとっている者ははるかに多い。この意味では、法曹界は超文系人間のあつまりなのかもしれない。
 ただ、そのような丸暗記は応用力に乏しく、つねにマニュアルとなるものがないと使えないのが欠点であり、新しい問題への対処はマニュアルがないとできない。思考経済というか、脳能力の経済、時間の有効利用という面からいえば、基礎的な事項から論理的に応用していく方がはるかに有益であり、効率も高い。法科大学院の適性試験でこのような能力も判定しているのは、一応それなりの理由がある。

#おまえはどうかいわれれば、答えに困る。楽して最小限の努力で最大限の成果をモットーとしてきたせいか、丸暗記は苦手である。というより、丸暗記をしようとすることに躊躇を覚える。他方で、大学生の頃は、各基本書の全重要論点の掲載箇所、文章等すべて覚えていた(イメージとして焼き付いていた)のも事実だからである。
05:30:34 | dolus | | TrackBacks
Comments

DF研究会悪しき先輩 wrote:

理系論理と超文系法理論の「相互通訳」は,実はシンドイです。O崎先生も,同様のシンドサを味わっていると思います。
10/31/04 01:09:59
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