08 November

SADFE 2005 in 台北

　今日から始まったSADFE 2005に出席中。参加者の比率は、エンジニア系6割、Law Enforcement系3割弱、法律系1割強といったところ。

　初日は、Tutorialということで、今回のテーマのExpert Witnessについて、具体的なケース（US v. Gorshkov）を素材として、実習付きレクチャーがなされた。このあたりは、いかにもアメリカンという気がしないではない。
　まずは、捜査の基礎なる連邦法の概要(Pen/register ActやEPCAなど）、関連する連邦証拠規則の概要の説明の後、本件についての、具体的な捜査の展開、デジタルデータの収集過程が説明された。
　そのあと、グループ分けといっても、着席した場所で近い者が適当にまとまって、実際のperlのソースと関係ディレクトリのデータのプリントアウトを配布されて、みんなで分析の検討会。その後、昼食をはさんで、グループの一つがExpert Witnessのプレゼンをして、問題点や手続きのあり方を検討するということになった。


　問題となったPERLのスクリプトですが、さすがに皆さんすらすらと読んで、その機能や仕組みを説明してくださいました。で、そこで、見つかったのが、某私立工業大学のサーバです。この事件の人たちは、日本の某私立工業大学のサーバを通して、WebmailのアカウントとpaypalとeBayのアカウントを取得して、悪さをしていたわけです。そんなわけで、おいおいどうなっているの？と私がいろいろ説明させられる羽目に。。。
　とりあえず、日米の司法共助は外交ルートだけのはずなので、3ヶ月いや、半年以上かかる（以前きいたことあるのに忘れているし）し、現行法ではデータの保全命令はないし、そんなのでtransactionデータをFBIが取得できないだろうと説明しておきました。そしたら、それをきいた担当元捜査官が、たしかにトライしたけど、10ヶ月はかかるといわれてあきらめことを思い出したと補足してました。

　それより驚きだったのは、この事件の捜査というか、データの取得方法です。問題のサーバはロシアにあるのです。Undercover Operationということで、いろいろ捜査していったらしいのです。技術的な面では、honeypotを仕掛けて、実際にハッキングさせたりとかもあったようです。で、決定的な証拠は、keystroke recorderと隠しカメラを仕掛けて、usernameとパスワードを取得し、本人がそれを使ってロシアのサーバにアクセスしたことを確認し、さらに、取得したusernameとパスワードで、ロシアのサーバにログインして、2.3GBのデータをダウンロードして、入手したというものです。
　これは、ちゃちゃいれ噴出でした。サーバはロシアにあるのに、そのコピーだけで証拠といえるのか？そんな捜査方法は違法ではないのか？など。。undercover operationの一環としての捜査なので問題ないのではないか、だいたい裁判所もちゃんと証拠能力を認めたし、担当捜査官が証言したし、いいだろう。プライバシーと証拠確保の必要性の比較衡量からみても、このような緊急状況では強要されるのではないか。連邦証拠規則にあるベスト・エビデンス・ルールで、コピーでもちゃんと証拠といえるのだ。というのが答えでした。

　そういや、最近は刑事法もアメリカ法べったりになってきているので、そういう人向けに。電話番号なんてprivacy issueではないので修正4条で保護されないよ。ただ、3rd party bussiness recordの限度で保護されるにすぎないよ。メールのヘッダとか、IPアドレスも同じやんけ。と、元捜査官は説明されてました。通信の秘密至上主義者の人たちはどう答えるのかな？ほかではアメリカ法好きなのにここだけは嫌いになっているのですよね。