Complete text -- "W@re Windows"

27 July

W@re Windows

 「ネットユーザーの協力でサイバー犯罪は減らせる」警察庁羽室氏という記事で、
ニューヨーク市が実践した「割れ窓理論」を紹介。窓ガラスが割れたまま放置されていると、管理されていないと思われ凶悪な犯罪が増えるという理論だが、「やはり窓(Windows)が割れているのではないか」と指摘し、犯罪を未然に防止するためにもセキュリティ修正プログラムを適用すべきだと呼びかけた。

とありました。
 まず、思い浮かんだのが、Windowsが[k]rackされていて、それが増えているのかと。ソフトについて「割れている」なんて表現を使われるとどうもそっち方面を思い浮かべるのは、毒されているのでしょうか。
# そういえば、ハッキングとクラッキングを区別して使おうとかいう人たちもいらっしゃるのですが、σ(^_^)の印象では、クラッキングはもともと有償ソフトのプロテクトをはずすことを指していたように思うのです。まぁ、専門家じゃないのでホントのところはわかりませんが。


 これは記事なので、述べたとおりなのか、記者のアレンジがはいっているのか、よくわかりませんが、「割れ窓」の話と、Windows系OSのセキュリティパッチがあたっていないマシンがあるということは、パラレルではないでしょう。セキュリティパッチがあたっていないというのは、警察庁が不正アクセス禁止法でよくつかった住居侵入の比喩でいえば、防犯対策が十分でない家がたくさん並んでいるだけで、別に窓が割れている家がならんでいるわけではないはずです。一応、Windowsなんとかといってみばえは立派なように思うのです。
 それに、割れ窓は、街のスラム化とそれにともなう地域コニュニティの崩壊・不存在の関係が重要だったようにも思うのです。セキュリティパッチがきちんとあてられると、コミュニティが活性化するのでしょうか。
窓ガラスが割れたまま放置されていると、管理されていないと思われ凶悪な犯罪が増えるという理論

というのは、よくある説明ですが、どうもいわゆる「割れ窓理論」のきちんとした紹介ではない気がしています。警察にとってはこのほうが地域安全の確保という名目で人員増要求の根拠にはなるでしょうが、有効な犯罪対策として実践しようというのであれば、その正確な全容の把握と分析が必要でしょう。
 よく刑事政策の授業とか冒頭で、科学としての刑事政策とかって講じられるのですが、科学としての刑事政策を標榜して、合理的な犯罪予防政策を実践しようというのであれば、自己都合的な、データの取捨選択や理論の解釈を避けようとすることからはじめなければならないはずです。

# 刑罰論でも同様で、応報刑が観念的とか理論でしかないとかいって、一般予防を標榜するときは、やはり一般予防効果を実証することが必要でしょう。それをしないときは、結局、応報刑論と同じレベルにとどまっていて、予防効果を積極的には主張できないはずです。
23:08:42 | dolus | | TrackBacks
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