Archive for 29 November 2004

29 November

不正融資の相手方と共同正犯の成否

 またもや、共同正犯シリーズです。今回は最決平成15年2月18日刑集57巻2号161頁の住専の不動産会社への融資案件が不正融資で、融資担当者が特別背任(商法486条1項:ただし平成9年当時のもの)に問われた事件です。このとき、融資を受けた会社の代表取締役にも特別背任罪の共同正犯が成立するかどうかが問題とされました。
 大きく分けると、共同正犯性という点と共犯と身分の問題とに分けて考えることができます(ただしこれは単純化しすぎ)が、判旨は共同正犯性について判示しています。

#不正融資の案件は、融資を受けた側についても、共犯の成否が問題となると思うのですが、試験に出しても、このことに触れる者はほとんどいないです。司法試験の答練でもそうです。二重譲渡では第二譲受人の共犯の成否を書くのに、バランスが悪いですね。予備校テキストに毒されているとこういった応用が利かない者が増えてきます。まぁ、判例がでたので、予備校本も追加するでしょう。なお、藤木英雄『刑法演習講座』にはしっかりとこの論点が言及されています。
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02:58:30 | dolus | 4 comments | TrackBacks