Archive for 18 May 2005

18 May

瀧川説の財産犯体系

 瀧川説は、財物について徹底した管理可能性説を採るようですが、その財物概念、さらにはその背後にある財産犯論には、注目すべきものがあるようです。
 たしかに財物は管理可能性のある物として、各種エネルギーをも財物とすべきであるとしますが(刑法各論(増補・1968年)108頁)、人の身体が財産権の対象とならないことから、人の労力は除外され(107頁)、暴行、脅迫をもって債務免除の意思表示をさせることが利益強盗にあたる(128頁)とされていますので、債権や役務の提供は利益になるようです(しかし、他方で権利も財物とされている。109頁)。
 ここで注目すべきなのは、管理可能性の意義に関して、「財産権の対象として支配ができる物という意味、即ち、経済的効用のある物」とされ、物の経済的効用(価値)が財物の本質であるとされているところです(108頁以下)。
 
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04:36:22 | dolus | 2 comments | TrackBacks