06 July

判例・裁判例

 シャクティ事件で最高裁の判断がでたようです。刑法学会で扱うというので、調べたときには、どこかのサイトで高裁で確定したようなことが書いてあったのですが、そのサイトの記述は間違っていたのですね。不作為の殺人に関する最初の最高裁による判断なので、判例集に登載されるでしょうね。とすると、刑法学会の原稿はそれを待って書き直す必要がありそうです。orz

 確定つながりということで。ACCS事件で被告人が控訴を取り下げ、一審判決が確定したとのこと。ACCSのコメントはこちらです。これによると、大阪の朝日新聞がすっぱ抜いたようです。
#大阪の社会部は、大学の不祥事関係に詳しいというか、取材源をもっている記者がいらっしゃるようで、数年前の某大学の横領疑惑もすっぱ抜いてなかったでしょうか。こちらは、本人の辞職、他大学への就職でうやむやになってしまいましたが。

 ACCS事件のほうは、もしかすると、判決文を裁判例として公刊することはしないかもしれません。判決文に犯罪事実としてそのやり方が詳しく書いてあり、この部分は公判を非公開にして証拠調べしたところにも関係しているのではなかったでしょうか。しかし、公刊してくれないと、有意的な裁判例の研究はできません。不正アクセスに関する解釈を示している点で重要な裁判例だと思うので、ぜひとも判時や判タに掲載してください。
01:42:36 | dolus | 2 comments | TrackBacks

25 February

判例とその読み方

 春一番で花粉が乱れ飛び、苦しむかと思いきや、雨が降りはじめ、るん、るん状態。これなら、地獄のような3月上旬を乗り切れるかも。。。

 報道とか、学生の答案とかみていても、裁判所の判断をどうみるのかというのは、なかなか難しいようです。ただ、国民の知る権利に奉仕しているのだという自負を語る前に、司法担当の記者さんたちのなかには、もうすこしきちんと勉強して欲しいという人もいます。

 そういう私も、判例とはなんぞやなんて難しいことはまったくだめです。そもそも判例とは、を語るほどえらくもないです。なので、お世話になった先生の本《中野次雄編『判例とその読み方』(有斐閣)》から
判例というものは、それぞれの事件の具体的事実との関連において個性を持っており、その個性がその判例の適用範囲を決定するのであるから、いやしくも判例を読むという以上は、事実を度外視するわけには行かないのである。われわれ実務経験者が判例を読むとき、神経質すぎると思われるほど具体的事実を追求してその判例の個性を確かめようとするのはそのためで、その点は判例を読むすべての人にどうしても留意してもらいたいと思うところである。



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01:19:16 | dolus | 1 comment | TrackBacks

02 February

判例評論―再掲―

2月1日発売号の判時が送られてきました。定期購読ではなく、判例評論を書いたからです。
 没収の量刑判断をどうするのかということは、もう少し考えてみる必要がありますが、かなり特別予防的考慮のある刑罰であることは否めないので、罪刑の均衡の判断が後退することになるのかもしれません。
 電磁的記録といえども、有体物に化体しているものが没収で問題になりますので、基本的には、犯罪供用物、犯罪組成物を構成する有体物が没収対象でかまわないはずです。電磁的記録を化体している有体物が犯罪組成ないし供用物件でないのに、電磁的記録それ自体が犯罪組成ないし供用物件となる事案というのは、ほとんどないはずです。
 本件の判決のように、電磁的記録の没取を刑法が予定しないと解釈しても、通常の案件では困ることはないでしょう。ただ、第三者没収にかかる場合に問題となりますが、これは審議中の改正刑訴法で対処される予定です。
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15:05:13 | dolus | No comments | TrackBacks

17 December

ニュースなつっこみ

 明石の歩道橋事件の判決があり、現場責任者に有罪判決が下されたようだ。過失の存否という難しい問題は、判決文が出てから、検討すればよいとして、気になった記事があったので、またまたつっこみ。
過失事件に詳しい甲南大法学部の平山幹子助教授(刑法)は「過失責任認定には、死傷事故が発生する危険の認識が抽象的でなく、具体的でなければならない。裁判所が予見の対象や基準をどこに求めるかが、有罪、無罪の分岐点になる」とする。


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15:40:21 | dolus | No comments | TrackBacks

13 December

機会はあった。継続中でなかった。

下記の判例が早速掲載されていました。やはり、理由は、
「被告人は,財布等を窃取した後,だれからも発見,追跡されることなく,いったん犯行現場を離れ,ある程度の時間を過ごしており,この間に,被告人が被害者等から容易に発見されて,財物を取り返され,あるいは逮捕され得る状況はなくなったものというべきである。そうすると,被告人が,その後に,再度窃盗をする目的で犯行現場に戻ったとしても,その際に行われた上記脅迫が,窃盗の機会の継続中に行われたものということはできない。」
というものでした。どこにも、窃盗行為が終了した後には事後強盗たりえないなどとは書いていません。

22:33:42 | dolus | No comments | TrackBacks