20 June

同時存在の原則

 今年の学会は、基調テーマが同時存在の原則なのかというくらい頻出していました。
 分科会で、半強制的にやらされましたし、二日目の個別報告、ワークショップと続きました。個別報告の後とかでも、いろいろ個人的に議論したので、おおよそめざすところは一緒なのかなという気はしました。
 原因おいて自由な行為の法理で、実行の着手が問題とされますが、裏側から見ると、原因行為について正当防衛できるのかということがあると思います。間接正犯類似説などで、原因行為を実行行為とする見解(実行の着手を後ろにずらしても、原因行為が行為規範違反行為であるとする見解も含む)は、これは不正の侵害といえるので、正当防衛可能ではないでしょうか。しかし、酒を飲みたい人間に実力行使で飲酒を阻止するということは、結論として変な気がします。
 例外的に、病的酩酊で暴力をふるうという者について、それを自覚しているのにあえて飲酒しようとする行為については、これを阻止することは、許されるのかもしれません。とすれば、間接正犯に類似して処罰可能なのは、このような場合だけといってもよいでしょう。これ以外に、広汎に処罰を認めるのは、従来から指摘されてきた種々の問題があり、これを解決することは困難でしょう。
 例外説は、このような場合でも、おそらく実際に結果行為にでないかぎり、実行行為はないとするので、少々結論的に不当に思っています。ただし、奥村説では、行為支配性によってこの段階で実行の着手を認めるはずですから、結論的には同じになるかもしれません(確認はしていません)。

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17:37:30 | dolus | No comments | TrackBacks

28 May

瀧沢説の財産犯体系(続)

# しばらくほったらかしていたのですが、ちょっとだけ続きを。

 所持説は、経済的利用関係に注目して、物に対する事実的な握持それ自体を保護すべきであるとします。しかしながら、物に対する事実的な握持それ自体がただちに物に対する利用収益の可能性に直結するわけではないといえます。やはり法的な世界では、法的な正当性に裏付けられてはじめて経済的経済的な利用収益が可能なのではないでしょうか。法主体としての個人に当該財物の所有権が帰属することによって、個人はその財物を経済的に利用することができるのであり、財産犯の法益侵害性は領得行為によって、所有権の帰属を阻害することにあると解されます。
 この意味で、領得行為は所有権を侵害する行為であり、所有権侵害とは別に領得行為の意義を認めること(例えば、林幹人)は不要ではないでしょうか。


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06:35:36 | dolus | No comments | TrackBacks

♪どうでもいいですよ((c)だいたひかる)

 方法の錯誤で、抽象的法定符合説も具体的法定符合説も、結局観念的競合で、殺人罪一罪での処罰となって、科刑はかわらない。なぜ、こんなこと議論するのですか。と、ある学生。
この問題についてたくさん論文を書いたS@ai、さぁ、どう答える?

 刑法学会の分科会の打ち合わせ(3時間も議論をするのか)。報告の順番からいって、前後はごくごくまっとうなオーソドックスな見解。これはパラドックスなことをいわなきゃ。しかし、動機説の徹底と規範的評価を重視することは、肩身が狭い。。。

 早稲田の法学会大会で、江川紹子氏が講演をするらしい。刑法学会の○○さんは江川紹子氏に似ている、と某先生。う〜む(;-_-;)
本人確認の必要性があるかも。
05:45:51 | dolus | No comments | TrackBacks

07 November

decision-making

コメントから。
「児童ポルノの罪数では,大阪高裁と東京高裁の判例が分かれているので,最高裁の判断が待たれる。」
こんなこと書いているようでは見識が問われるでしょう。そんな風にしかみれないなんて、つきあう方、読み物をもう少し選ばないといけません。まともな学者でそんな結論をいう人はいないでしょう。
#自分の結論はちゃんと示しているけど、その妥当性を最高裁が示してくれるとうれしいな、という期待を込めて書くことはあるかもしれません。


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15:17:55 | dolus | 15 comments | TrackBacks