Archive for 13 September 2005

13 September

感動すれば、著作権処理は?なんてうるさいことをいってはいけないのか

 知という食事の最良のソースというエントリーで紹介されていたSteve Jobs氏のCommencement addressの邦訳ですが、これはこのままで問題ないのか気になります。この原稿は、どこから手に入れたものなのでしょうか、あるいは、邦訳してよいものなのでしょうか。原典の明記も、権利関係の処理についてもなにも示されていません。
 6月頃のMac関係のニュースサイトでは、この紹介がありましたので、そのときの個人的なメモからたどってみると、Stanford News Serviceによる全文紹介記事とダイジェスト映像が残っているようです。さらに、録音されたものとしてWiredAtomによるものがあります。ついでに、Jobs氏が言及していた最終号の裏表紙つきでの紹介もあります。
 ひじょうに感動したならば、ごたごた権利関係の処理はどうでもよくて、みんなに広く紹介すればそれでよいのでしょうか。そのあたりは、慎重にしておかないといけないことのような気がします。ただでさえ、ネットでは、著作権が軽視されていると思っている人たちがいるわけで、思わぬ足をすくわれたり、徒な介入をまねくおそれもなきにしもあらずといえるからです。
 権利関係だけでなく原典明記も大切なことです。上記のStanfordのサイトのテキストと音声を比較するとわかりますが、微妙に違っています。どっちが公式のものといえるのかということも含め、いずれに依拠したのかということも、重要なことです。
# ついでにいうと、テキスト、映像、音声すべてを見聞きしてみると、邦訳自体、それほど上質のものではないという気がします。間違っているというわけではないのですが。。。。
13:15:24 | dolus | 1 comment | TrackBacks

ある先生の悩み

 選挙関係についても結構書きたいことはあったのですが、萎縮効果がはたらいて、やめました。

 法科大学院設置後の研究者養成のあり方は、各大学によっていろいろなようですが、大きく分けて、既存の修士課程を残しておくタイプと実定法関係は修士課程を廃止し、法科大学院修了者(あるいは新司法試験合格者)のみを博士後期課程に入学させるタイプとあります。例えば、前者が早稲田、慶應、後者が東大、京大などです。
 伝え聞くところでは、後者の制度の大学の某先生(専門は刑事法じゃありません)は、法科大学院卒業生からしか研究者を養成しないことで、早稲田・慶應に研究内容や研究力?といったものが追い抜かれるのではないか、憂慮されているということでした。一つは、大手事務所による青田買いが激しく、しかも研究者となるよりもはるかに高額(倍以上)の給与を提示して、優秀な学生を集めている現状で、あえて研究者になろうというモチベーションをもちうるのかということです。もう一つは、法科大学院入学時あるい在学時に英語の力をチェックでき、あるいは鍛えることはできても、それ以外の言語を習得させることは困難であることです。
 特に後者のほうは深刻らしく、法学の研究をやっていく以上、複数の言語を習得して、原典をあたることが必要なのに、法科大学院卒業すると、最低でも24〜5歳で、その段階で、ドイツ語やフランス語などを基礎から習得することなど難しいのではないかということのようです。そうすると、修士課程で、第二ないし第三言語の習得・鍛錬が可能となる早稲田などの研究者養成に負けてしまうというのです。

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12:47:22 | dolus | 2 comments | TrackBacks