Archive for 09 June 2005

09 June

ぁゃιぃ本

 相当因果関係説において、狭義の相当性判断を(1)行為に存する結果発生の確率の大小、(2)介在事情の異常性、(3)介在事情の結果への寄与の大小により判断するという立場があります(前田・総論183頁)。確率の大小や寄与の大小が結論に対してどのように関係するのか、その判断の具体的構造が不分明であるという問題や、事実的な寄与ではなく、端的に規範的な帰属判断に移行すべきではないかという批判があるのは、ともかくとして、一応このような判断の枠組みをとることは可能です。
 しかしながら、このような判断枠組みが折衷的相当因果関係説と両立するのかといえば、答えは否定的になります。前田説はあくまで客観的相当因果関係説に立脚しながら、狭義の相当性判断を具体的な経過を参照しつつ判断しようとするものです。これに対して、わが国で主張されている折衷的相当因果関係説は、そもそも狭義の相当性を広義の相当性判断に集約させ、行為の危険性と結果との対応関係の相当性を判断しようとするものです。
 そのため、このような折衷説の構造からすると、折衷説の枠組みおよび理論構成、論証をとりつつ、狭義の相当性判断を独自に取り出し、行為後の具体的な経過を判断するということは、矛盾することなるため、前田説の判断の枠組みを採用することはできないのです。そのようなことを無批判に、なんらの論証もなく、結合させてしまっている本があるのですが、いかがなものでしょうか。2ホップくらい論証しないといけない気がします。

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04:16:41 | dolus | No comments | TrackBacks