Archive for 11 May 2005

11 May

財産上の利益と管理可能性

 財産上の利益の例としては、債権が典型的なものとしてあげられ、その他に役務の提供をあげることが多いでしょう。ところで、役務の提供というのは、管理ないし支配の可能性があるといえるでしょうか。換言すると、1項の財物罪に相当するような利益の移転といいうる形態で、役務の提供は移転するといえるのでしょうか。
 たしかに、役務の「提供」ですから、提供という語感が利益の「移転」に相当するような気もします。しかし、サービスを提供する側は一定の活動をしていても、それと同等の活動をえているわけではないので、ここには利益の移転がないといえます(参照、町野・犯罪各論の現在)。むしろ、この場合、当該役務の提供が有償である場合、すなわち対価を必要とする場合、サービスを提供した側が債権を取得するにすぎないのです。
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06:25:04 | dolus | No comments | TrackBacks