Archive for 03 December 2004

03 December

違法と責任

 個々の人にとってみれば、犯罪が成立するのかしないのかということに関心があって、犯罪が成立しなかった場合に、それが違法阻却によるのか、責任阻却によるのかということは、問題にならないのかもしれません。でも、刑法では、違法と責任は区別して論じられることが多いのです。
 端的にいえば、もしある行為が違法と評価されるならば、その行為は誰もしてはいけないよ、と宣言して、知らしめる必要があります。他方で、違法でない、正当化されると評価される場合には、その行為はしてもよいのだと宣言して、知らしめることになります。
 違法性の実質を法益侵害という点から構成すると、行為を違法と評価することは、当該行為によって侵害された法益は保護されるべきであったと宣言することになります。逆に、行為を正当と評価することは、当該行為によって侵害された法益は侵害されてもやむを得ない、侵害は甘受しないといけないと宣言することになります。

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15:49:14 | dolus | No comments | TrackBacks