Archive for 22 November 2004

22 November

暗黙の了解と共謀

 拳銃所持の共同正犯の判例の続きです。な・が・い(^^ゞ
 最高裁は、共謀ないし共同実行の意思という主観面については「けん銃等所持につき黙示的に意思の連絡があった」としています。共同正犯の主観的な成立要件としてこのようなものでたりるとしたとみるのは、やはり妥当ではないといえます。ここでも、組長とボディーガードという上下関係の存在が大きなファクターを占めているとみるべきではないか考えています。
 なお、この認定の前提となる事実関係について、本判決では、「直接指示を下さなくても、被告人本人のボディガードとしての経験などに基づいて、これを確定的に認識しながら、当然のこととして認容し、そのことをスワットらも承知していた」ということを認めています。この点をどのようにみるのかも、問題となります。黙示的な意思の連絡、暗黙の了解でよいのでしょうか。
# ちなみに、このゼミのオチは、暗黙の了解ということから考えると、橋本派の一億円政治献金について、だれまでが政治資金規正法違反の共謀共同正犯といえるかでした。
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16:03:38 | dolus | No comments | TrackBacks

カンニング

 お隣の国ではカンニングが問題となっています。互助精神のあらわれがつよいことによるのか、カンニングに甘いお国柄ではないかとの見方が、あったりもします。今回はそうもいかないでしょう。
 マークシートだと携帯でも情報交換はしやすいでしょう。文章でも、ある程度の量なら可能でしょう。私のゼミの学生のなかには、画面を見ずに変換・送信できるつわものもいます。
 ちなみに、私の採点基準の中核は自分の頭で考えるということなので、文章の表現形式がほとんど同じ答案があった場合、大幅に減点します。レポートは0点です。同じ結論、同じ理由づけでも、書き手が違えば異なる表現形式になるからです。
07:57:53 | dolus | No comments | TrackBacks

実行行為っていらないのですか?

 刑法総論の授業で、こんな質問もらいました。
 指定教科書をなるべく講義内容に近いものにしたせいか、実行行為が書いていないということにとまどいを感じてのもののようでした。個人的には、そんなものいらないといってもよいのですが、まぁ、いろいろ説明するとき、実行行為という言葉を使うと便利なんで、一応使っています。でも、実行行為の説明をきいて、行為それ自体をみて、なにが実行行為なんてわかることはない、とわかれば十分です(そうじゃないという人は多いでしょうが)。どのような結果を惹起したのかによって、実行行為というのが決まるということです。
 犯罪論の体系も、didaktischな機能しかないという人もいるくらいで、実質的な観点が重要です。なにがなんでも、実行行為にこだわって犯罪論体系を構築するというのは、判例・学説の動向からすると、かなり難しいとは思います。そうじゃないという立場からは、どこまで通用するのか徹底してもらいたいのですが、そうもいかないようです。間接正犯で実行の着手を非利用者の行為に認めたり、原因において自由な行為で、間接正犯類似説を採らないということは、実行行為概念が維持しえない証左だと思っています。
# 土曜日の会合で、S先生は、実行行為に残された機能は、説明的ないし教育的機能だけしかないかも、ということをいわれてました。慎重な方なので、私みたいに安直に断定されない(^^ゞ
05:10:19 | dolus | No comments | TrackBacks