Archive for October 2004

28 October

みんなKO!?

 具体的事実の錯誤の報告をきいていて気づいた。なんかみんなKOである。

 方法の錯誤を中心として具体的事実の錯誤を処理する場合に、既遂結果に対する故意への主観的帰属を問題にしようという立場を紹介していた。多少異同はあるが、行為者の認識した実行行為の危険性が現実化した結果に対してのみ故意の既遂犯を認めうるとするという見解である。
 ここでは、従来の別の意味での結果無価値と行為無価値の理解が問われていると思われる。通説・判例とされている法定的符合説は、同一の構成要件的評価を受ける場合には、すべて故意を認めるとする。しかし、この場合、その主観的側面においては、自己の実行行為より生じた結果については全部責任をとらなければならないということまでも主張することになっている。およそ人を殺そうと認識した以上、故意としてたりるとするが、端的に言えば、殺人の実行行為性の認識さえあれば、そこから生じた結果についてはすべて責任を負うべきだということである。実行行為という行為無価値に対する責任が、そのもたらす結果全てへ責任を自動的に基礎づけるというのであるから、そのかぎりで結果責任あるいは偶然責任を容認している。責任論における行為無価値一元論といってもよい。
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05:04:07 | dolus | No comments | TrackBacks

20 October

中止犯

 中止犯の法的性格について、ゼミのときはうまくまとめることができなかったので、再度挑戦。また、まとめきらないかもしれません。
 中止犯の法的性格を考えるとき、二つの別の次元のことが一緒に議論されている気がします。一つは、中止犯が成立するとき、犯罪成立要件のいずれかに影響が及んでいるのかということと、もう一つは、中止犯の刑の必要的減免の根拠をどのように考えるのかということです。前者は、違法減少・阻却なのか、責任減少・阻却なのか、一身的刑罰消滅・減少事由なのかという問題で、後者は政策的根拠により説明するのか、犯罪の実質的な観点を持ち出すのかということです。
 たとえば、中止犯を刑罰消滅・減少事由と解する場合であっても、その内実として責任減少という実質を考えることは可能であるということです。刑法105条の刑の免除は、親族による行為について期待可能性(責任)が減少するということで認められたとされていますが、他方で刑罰消滅事由にあたるものとされます。このように犯罪論体系における位置づけとその実質の議論はわけることができます。

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03:21:55 | dolus | No comments | TrackBacks

14 October

因果関係と客観的帰属

Y字バランスの学生の報告です。
相当因果関係説でもいけるぞ、がんばるぞというものだったのですが、判断基底にいれるべき事実、とくに行為後の事情について揺れ動いていました。
行為時の事情(被害者の特性など)と行為後の介在事実について、判例のとらえ方とか分析などは、フロアからの質問のほうがするどかったりして。

問題は、客観的帰属論の挙げる例を相当因果関係説で処理できるかということになって、
不注意で拳銃を放置していたところ、これを自殺志望の者がみつけて、これを使用して自殺した、
という事例で、相当因果関係は認めるべきだとしたので、ゼミは異論!反論!Objeciton!状態へ。
台所へ料理していて包丁を放置した場合はどうか、拳銃は本来的に殺傷のためのものだから、包丁と一緒にしてはいけない、やっぱり相当因果関係説の判断基底の基準は機能していないのではないか、etc.
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06:27:50 | dolus | 35 comments | TrackBacks

13 October

Y字バランス

後期から始まった演習のコンパであった質問から。最近、忘れっぽいのと宴会の最後に披露された女子学生のY字バランスの印象があまりに強かったので、全部は思い出せない?
#大学院生時代これを某大学の研究棟で披露された方がいらっしゃるとの噂をきいたことがあります。

Q:刑法総論の授業で使用する教科書の指定の理由は?
A:前期の各論の講義評価で立場の近いものを1冊指定欲しいという要望が多かったので。カラフルでよみやすい。難しいところが囲み記事になっている。最新の学説の動向にも触れている。
#そういえば、講義で、重大な誤植を学生が指摘してくれました。あとでメールしておきます。
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04:00:55 | dolus | No comments | TrackBacks